Renault Passions

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Paris Match:2

French touch & Lifestyle #002,

Text & Photos:Eri Tomita

パリの人々に時代を超えて愛される“パッサージュ”とは?

名車と名高い『ルノー4』をイメージしたカラーリングをまとう『カングー クルール』のデビューが発表されたばかりの昨今。そんなフレンチレトロスタイルへの追い風は、ほかでも見られ、映画の分野では1920年代のパリを舞台にした『ミッドナイト・イン・パリ』が注目を集めています。そんな映画の世界に足を踏み込んだのでは? と錯覚してしまいそうな場所が、今も往事の雰囲気を存分に残す“パッサージュ”。時代が変わっても古き良きを大事にするフランスならではのアーケードは、プレタ・ポルテも軒を連ねるおしゃれスポットとして人気を集めています。

 まだ大型デパートが無かった19世紀前半、市民のショッピングスポットとして人気を集めたパッサージュ(ガラス張りの屋根付きアーケード)。現在でも、セーヌ川右岸を中心に20カ所ほど残っています。一時は時代の趨勢に押され気味だったガラス天井のアーケードは、その不思議に気持ちの良い開放感と、フレンチレトロの隆盛を受け、今でもパリの人々(そして海外からの観光客にも)に深く愛されています。喧騒から一歩離れてパッサージュに足を踏み入れれば、文字通り19世紀のパリにタイムスリップした気分いっぱいです。

 なかでもルーブル美術館の裏手、“パリで一番美しいアーケード”と言われる、『ギャラリー・ヴィヴィエンヌ』(2区)は、1823年に公証人のマルショウによって建てられたもの。全長176mのこの通りには当初多くの人気ブティックが入り、市民のショッピングスポットとして人気を博したものの、後の大型デパートの出現によって一度人気は後退してしまいました。しかし、1986年にジャン=ポール・ゴルチエがパッサージュ内にブティックを構えたことから、パッサージュはかつての賑わいを取り戻しました。今は、『ゴルチエ』やパリにあこがれファッションへの道を進んだ『トリイユキ』をはじめとしたプレタ・ポルテや雑貨のブティック、ギャラリーなどが並んでいます。

ガラスと鉄の意匠が特徴のネオクラシック様式。

 モザイク画で敷き詰められた床と、ガラス張りの天井、螺旋階段に壁面のデコレーションは、ガラスと鉄の建築が発達していたこの時代のネオクラシック様式で建てられたもの。直線的かつ優美な建築様式で、19世紀の贅を凝らした美しい回廊は、歩いて入るだけで夢心地になれる。

 ひと際目を引くカラフルな色使いのブティックは、フランスプレタ・ポルテブランド『Nathalie Garcon』。「5年前にブティックを作るとき、どうしてもこのエレガントなギャラリー・ヴィヴィエンヌにお店を開きたかった」というナタリー。「パッサージュのガラス天井から入る、優しい光がとても気に入っているの」。新作コレクションのデフィレ(=ファッション・ショー)はこのパッサージュを会場にして開催しているそうです。

 パッサージュ創設当初から家族で経営を続けている古本屋の『Jousseaume』。ヴィクトル・ユーゴーやバルザックといったフランスの文豪たちが今にも現れそうな、趣のある店内は創業時のままだという。ポストカードに版画ポスター、飾って置きたくなるお洒落な装丁の古本がところ狭しと並んでいます。

 「静かでゆっくりと時間が流れるパッサージュはとても気に入っているの。お客さんが商品を買ってくれたらきちんとラッピングをしたいし、お客さんと丁寧に会話だってしたいもの!」と話してくれたのは雑貨屋『aBis』のオーナー、アニエスさん。店内は、見ているだけで楽しくなるキッチュな雑貨がいっぱいで、時間を忘れてついつい長居してしまいそうなほどです。  歴史あるレトロな趣きを残したまま、時代のニーズに合わせてその内容を変えてきたパッサージュ。まさにパリの人々が生まれながらにもつ「古き良きものを末永く愛す」哲学を体現した好例ともいえるのではないでしょうか。

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掲載情報は2012年6月時点のものです。

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※写真には一部欧州仕様を含みます。

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