Renault Passions

THe POINT OF VIEW

R's Originality #029,

日本の職人技に通じる、見た目にとらわれないルノー・スポールの仕事ぶり。

01.7分54秒36の快記録を打ち立てたチーム・ルノー・スポールの面々。

02.2011年は8分7秒97をマーク。ここから3年後、8分の壁を破ることに。

03.ニュルブルクリンク北コースは、世界中のスポーツカーがパフォーマンスを磨き上げる聖地だ。(掲載の車両は2012年欧州で発売された限定車)

 2014年6月15日、ドイツのニュルブルクリンク北コースにおいて、ルノー・スポールが手掛けた最新のメガーヌ R.S. が量産FF車最速ラップタイムを更新! 2008年に8分17秒を記録した初回から3回目の挑戦で、1周8分を切る7分54秒36を記録しました。
 ルノー・スポールはなぜ記録にこだわるのか?まずニュルブルクリンク北コースというのは、スポーツモデルをつくる世界中の自動車メーカーにとって重要なテストコースのひとつです。全長は20.832km。ブラインドやバンクなど、性質が異なるコーナーの総数が172。路面状況もさまざまなので、データを得るには最適ですが、最速タイムを出すには条件が厳しすぎるコースでもあります。
 だからこそナンバーワンを目指す。どんなスポーツであれトップになりたいと願うのは我々のマインドです。ましてやルノーのモータースポーツ・ディビジョンであるルノー・スポールには、伝統に支えられた大きな誇りがあります。
 1950年代からルノーと共に各レースで活躍した名チューナー、ゴルディーニとアルピーヌの血筋を引き継ぎ、1973年に設立された後はF1やル・マン、WRCなどでハイレベルな戦いを展開する一方、FF車のルノー5をミドシップ化したルノー5ターボの開発。その手法を継承したルーテシアR.S. V6等々、大胆で革新に満ちたロードカーも発表してきたルノー・スポール。そんな彼らが2位に甘んじることはありません。
 ただしルノー・スポールは、限界を極めるレースで得た技術や経験を製品に生かすという大きな使命も担っています。今回の“ニュル最速チャレンジ”に向けて新開発されたメガーヌ R.S.もまた、彼らの仕事が発揮された1台となりました。
 単純なパワーアップは耐久性を犠牲にするというルノーの設計思想を尊重してルノー・スポールが取り組んだのは、高剛性でしなやかな乗り味を生み出すシャシーチューニングでした。優れたシャシーは、エンジンパワーを余すことなくタイヤに伝えることができます。つまりルノー・スポールが挑んだのは、直線ではなくコーナーリングのスピードでタイムを稼ぐという方法なのです。
 ちなみに現行のメガーヌ R.S.は、2011年に2回目の“ニュル最速チャレンジ”で記録更新した車と同じシャシーを使っています。このシャシー、技術革新の象徴として「ルノー・スポール シャシー」と名付けられています。そこからも、ルノー・スポールの挑戦とは特別な1台をつくるのではなく、全ノウハウをルノーファンに捧げるためだということがご理解いただけると思います。

アルピーヌ ゴルディーニ

04.アルピーヌはルノーのチューンナップを数多く手がけ、
ルノー・スポールの礎を築いた。

05.ゴルディーニもルノー・スポールの歴史を語る上で
外せない名門チューナー。

 ルノー・スポールの仕事振りで特に感銘を受けるのは、エンジニアとテストドライバーが常に行動を共にする点です。こんなことがありました。2013年4月、ルノー・スポール初となる欧州以外の開発テストが鈴鹿サーキットで行われました。1年2ヶ月後に「#UNDRE8」を成し遂げるテストドライバーのロラン・ウルゴンはもちろん、同社のチェアマンも同行するという大掛かりなものでしたが、そこであるエンジニアが私に尋ねたのです。
 「僕のレーシングスーツは用意してくれた?」
 噂には聞いていたが本当に乗るのかと思いました。そして実際に走るとテストドライバーの2秒落ち程度で回ってくる。これにはさすがに驚きました。一般道での移動も彼らは日本の路面状況に関する話題で持ちきり。帰国するその日にも箱根を走りたいとリクエストされました。
 見た目の派手さにとらわれず、中身で粋な仕事をする。日本の職人に通じるスピリットがルノー・スポールにはあります。そしてまた、彼らの技を量産ラインに乗せることができるルノーの寛大さは、私が尊敬してやまないところなのです。

ルノー・スポール社屋鈴鹿サーキット 鈴鹿サーキット

06.ルノー・スポール社屋には数々のスポーツモデルが立ち並ぶ。

07.鈴鹿サーキットでの開発テストには、フランス本国から

  テストドライバーとエンジニアも同行。

08.鈴鹿サーキットにて開発テストが行われたときの風景。

  徹底的な検証から得られるノウハウの全ては

  市販車にフィードバックされる。

掲載情報は2014年10月時点のものです。

※写真には一部欧州仕様を含みます。

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